理事会声明 大阪市を消滅させ、5つの特別区に分割する大阪都構想に絶対反対
- 2015/4/23
- 私たちの考え
理事会声明
大阪市を消滅させ、5つの特別区に分割する
大阪都構想に絶対反対
■大阪市会、大阪府議会で「特別区設置協定書」が承認され、5月17日に協定書の賛否を問う住民投票が実施されます。この協定書は、大都市における成長戦略を具体化するために大阪市を廃止して5つの特別区を設置するというもので、大阪市民のくらしや自治体の本来の役割にきわめて大きな影響を及ぼします。
■橋下市長や大阪維新の会は「大阪都構想を実現し、二重行政による無駄をなくす」といいますが、市立の住吉市民病院や環境科学研究所、府立の救命救急センターや公衆衛生研究所など、無駄なものは一つもなく市民・府民に必要なものばかりです。二重行政論はすでに破綻しています。大阪市主催の住民説明会で橋下市長は「無駄なお金を医療・福祉・教育などの住民サービスに使いたい」「その思いが協定書の原点です」と説明しています。しかし、これまで府・市政で救急医療や医師会委託事業、文楽などの補助金をカットし、敬老パスを有料化し、市バスや赤バスの路線を廃止してきた張本人が橋下氏であることは論をまちません。維新の会がめざす「大阪都構想」の本当の目的は、市税収の四分の三を大阪府に移すことで、カジノ誘致、高速道路整備などの大型開発を進めることにあります。
■府・特別区・一部事務組合という構造はそのまま関西広域連合や道州制につながり、大阪市以外の自治体や他府県にも影響します。市民の財産を府が吸い上げ、広域行政で民間企業がビジネスを展開しやすい大阪にするために歴史ある一大都市を消滅させるという暴挙をけっして許してはなりません。
■全国の政令市のなかでも大阪市はトップの予算規模で、医学部を有する市立大学、保健所機能が集約された保健センターなどを有し、乳幼児医療費助成制度や予防接種事業、生活保護行政、介護保険事業、医療法に基づく医療機関への指導監督など多くの医療行政を担っています。これらの医療行政はいったいどうなるのか、添付資料も含めて695ページにも及ぶ協定書にはそれらの運営方法は全く記載されていません。市の財産をどのように分配するかが詳細に書かれているだけです。このような協定書の内容に賛成することはできません。
■「一度やらせてみては」との声も少なくありませんが、そのような思いで大阪市が消滅すれば歴史に禍根を残すことになります。いったん大阪市廃止が決定すると現行制度では元に戻す方法がありません。「反対」と明確に意思表示することが最も大切です。
■私たちは地域医療に責任を持つ医療団体として大阪都構想に反対するとともに、大阪市を守るために住民投票では「反対」の意思表示をすることを広く呼びかけます。
2015年4月23日
大阪府保険医協会理事会